SpaceFわひね(wahine) 

一人ひとりが思いを、あるときは共有し、あるときは自由にたゆたう。。そんな場所をめざして 

2012年

02月26日

(日曜日)

漁港の肉子ちゃんとクリムト?

「漁港の肉子ちゃん」を図書館で予約したのは昨年末、
確か毎日新聞夕刊でとりあげられていたはず、と記事を探しても見当たらない(++)
ようやく順番が来て表紙を見てあれま、イラストは著者自身と書いてあるが
これはクリムトではないの?クリムトに触発されたんだろうが。。。

漁港の肉子ちゃん klimt_danae01.jpg

菊子なれど、「肉子」と呼ばれて、“でぶ”からイメージされる
ネガティブ&ポジティブイメージをことごとく体現している肉子ちゃん。
「おいおい、世の中の“でぶ”はそんなに単純じゃないだろ!」とつっこみたくなるほど
わかりやすく賑やかでうっとおしくふてぶてしく頼もしくも暑苦しい・・・
だまされてもだまされてもあっけらかんと全てを包み込むというステレオタイプ。
そんな肉子ちゃんに付き合うキクりんのやるせなさは
ざっと思いつくだけでも昔の漫画「じゃりんこチエ」や
ロードムービー「ペーパームーン」をはじめとする“ダメ大人VS利発な子ども”の図式。
じゃりんこ ペーパームーン

肉子ちゃんの悪意無きパワーはあのバグダッドカフェの主人公にも通じるか
(バグダッドカフェの方は確信犯だけど)

bagudad.jpg

同じように感じた人をTwitterで発見~
http://twitter.com/#!/tomoon1341/statuses/160692467518287872

内容はともあれ、北陸の小さな漁港での物語りという設定ながら
著者がこの本の着想を得たのは、知人編集者の故郷石巻を旅した折に、
女川漁港に立ち寄って寂れた焼肉屋を発見したからだったと
そしてこの物語がその編集者の雑誌に連載されている最中に震災。
と「あとがき」に書いてあった。

小説は、例えばひとつのおにぎりに、何を尽力したってかなわないのだということは、自身が起こる前から、分かっていました。いいえ、分かっていた「つもり」でした。ですがやはり、あの地震は、わずかでも残っていたのだろう、自分の作家としての何らかの嫌らしい自負を、打ち砕くものでした。ただ、「漁港の肉子ちゃん」という「物語」は、残る。それが誰の力になるのかなどを考えるのは、やめよう、できた物語を、キラキラした石巻のおかげで生まれた「漁港の肉子ちゃん」を、私は慈しもうと思いました。

震災後さまざまな方法でいろんな分野の人々が「自分に何ができるか」を問うてきた。
この物語のわかりやすさと、小説家にしてはあまりにも率直な著者の“決意”に、
いつもなら引いてしまうところだけれど、けっこう清清しい気分になれたのは
物語がファンタジーの要素も持ち、肉子ちゃんやキクりん、サッサンの生活ぶりが
“らしさ”から解き放たれているからだろうか。
都会でのうのうと暮らしている私の罪悪感を忘れさせてくれるからだろうか。

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■「漁港の肉子ちゃん」西加奈子

みんな、それぞれで生きている。それでいい。圧倒的な肯定を綴る、西加奈子の柔らかで強靱な最新長編。 女優宮崎あおいさんが以前NHK「あさイチ」で紹介してた本、お気に入りの作家
2012/10/05(金) 18:10 ★ 粋な提案

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