SpaceFわひね(wahine) 

一人ひとりが思いを、あるときは共有し、あるときは自由にたゆたう。。そんな場所をめざして 

2011年

09月20日

(火曜日)

記憶すること

最近記憶力低下にいっそう拍車がかかっており、記憶保管庫?もザル状態。
そんなわたしが保管庫に残っていたものを見つけ
ちょっと救われた?気がしたのが、先日聴いてきた辛淑玉さんの話。

講演会「震災で見えてきたこと~女の目線、男の目線~」

会場の8割以上が辛さんの話を初めて聴く人ということもあってか
いつも以上に柔らかで静かな語り口。
(いつもながら自虐ネタも振りまき笑いのツボもしっかり抑えつつ)

いろんなところでいろんな人が被災地の現状を伝えています。
半年たっても足踏みどころか悪化している状況の中で
情報に疲弊して私は「またか」と思っていないだろうか。。。
そうやって情報に鈍化していくことが誰かの思惑通り?

が、辛さんの目線からの話は、
おそらく会場にいた人にとっては目から鱗が何枚もはがれただろう。
3・11以後辛さんは何度も東北へ出かけているそうです。
政治やメディアに、いつも一番弱い立場に置き去りにされている人たち、
見えなくされている人たちを見つけ出し寄り添います。
外国人籍の人は死傷者としてカウントされていないこと、
障害者手帳を持っていた人の死傷者行方不明者の割合が多いこと、などなど
あらためて、これまで見えなかったことがさらに見えなくなる被災地。

福島の一番大きな避難所(ビッグパレット)に小さな女性だけの場所ができたとき
多くの男性から「なぜ女だけが優遇されるのか」と抗議の声があがったそうです。
よく言われるように、
「これまで家族を養う大きな責任を背負わされ“仕事”を生甲斐にしてきた男性は、
生活”の術や時間の使い方を学ぶ機会を許されなかったため
震災で全てを奪われてしまった今、喪失感の中で精神的に荒れていて
弱さを口にすることができず弱者へそのはけ口をぶつけて暴力を振るっていく・・・
オトコに泣き言を言わせず追い込み、全てを背負わせ、
“女みたい”と言われることを避け続けさせ
オンナからはもの言う機会を奪っている社会、どちらも不幸になるばかり。

女性に対する暴力被害者のためのホットラインが開設されて
一番多かったのは、阪神淡路大震災の際に被害を受けた女性たちが
当時のフラッシュバックに襲われてかけてくる電話だそうです。
現在仮設住宅や避難所で同じような被害を受けている人たちはまだまだ
電話をかける余裕さえないと想像するに難くない。

辛さんがさらに心配するのは、各地の自治体職員の疲弊です。
震災でなくなった職員は殉教者扱いされ美談となり、残った職員は
死ぬほどがんばらないとバッシングされる、
一般市民からもメディアからも、彼らを守るべき政治家からも
一番叩きやすい彼らは誰にも抵抗できない・・・
公務員研修をした際職員の一人が
「誰かにしがみつきたい気持ちを必死で抑えている、
自分が怖いと言うと住民がパニックになるから」と語ったそうです。
そんな思いを抱え込んで折れてしまう自殺者も増えている。

さらに、
福島県差別という、これまでの様々な差別がまたここで繰り返されていると。
“恐怖”をこらえきれず排除することで避けようとする。

10年ほど前の冬、辛さんはイラクで香田証生さんが殺害されたニュースに
「自分が殺したと思った」と、内なる激しい憤りを抑制した口調で
なんども語っていました。
今回も、放射性物質への危惧からくる排除・差別意識の根っこにある差別感が
当時と状況が変わっていないことを強く訴えています。
私も当時同じように感じていたので辛さんの言葉に救われたことを
思い返し、記憶の大切さをつくづく認識した。
(留め置けよ、私の脳!)

辛さんはいつも客席に問いかけます。
どんな答えにも、時には確信犯的な反駁にも真摯に応えます。
来場者からの質問も呼びかけます。
相手の問いにストレートな回答とは受け取れないかもしれないが
質問の意図より細かくあるいは大きく問題点を的確に捉えて
来場者がさらに深く考えられるような話をします。
その静かな語り口は、私のなかにじわ~っと染み入り
充電切れの頭に栄養を与えてくれる気がして
また辛さんに遭いたくなるんだよな~

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