FC2ブログ

SpaceFわひね(wahine) 

一人ひとりが思いを、あるときは共有し、あるときは自由にたゆたう。。そんな場所をめざして 

2018年

02月21日

(水曜日)

嘘の木

「嘘の木」 フランシス・ハーディング著

嘘の木

ヤングアダルト向けのファンタジーというくくりで高く評価されて、本邦初翻訳の作家ということです。
ようやく手元に来て一気読み。
読後に宮部みゆきの書評を見つけて、「この本を昨年の個人的なベスト1としたあなたを私は評価するぞ」、とエラソーに頷く私でした。
宮部みゆき書評

ビクトリア朝で生きる主人公の14歳の女の子フェイスは、ある時は弟と一緒に子ども扱いされ子供部屋に、ある時は母親とともにレディとして女性部屋に追いやられる。そうして成長すると、それなりの階級に属した女性の常として、淑女として丁重に遇されるものの、墓碑銘は男たちの"最愛の娘"、"最愛の母"、"最愛の妻"、個人としての名前は記されず(記すに値しない者?)、歴史の表舞台には現れなかったものとして葬られる運命。

これまで発表されてきた当時のイギリスに生きる女性たちの生きる様を伝える一連の作品と同じように、フェイスは当時の女性予備軍として生きていくには多感な感情や好奇心を持て余し、なんとか身の内に押し込めようとするけれど、父親の死をきっかけに暴走し始める。。。

彼女は、女たちがそこにいてもいないこととされるという状況を逆手にとって、『嘘の木』を見つけ、大人たちを観察し情報収集したり、怪しい情報をうまく流したりして大人たちを動揺させ混乱させていきます。
一人で奮闘するうちに、周囲の人々の、特に女性たちの隠れた感情に気付いていきます。

「フェイスはずっと、自分はほかのご婦人がたとはちがうのだと思い込もうとしていた。でも、そうではない。ほかのご婦人がたもひとりひとりちがうのだ。」
少女期は、劣等感と自己嫌悪と根拠のない自信と虚栄心やらなにやらで実に落ち着かないものだ。ましてや周囲が理解の無い大人だらけと考えていたら尚更。

宮部みゆきも書いているように、ラストで、これまで全く自分とは相いれないと諦めていた母親への理解がフェイス生まれ、母親も娘を自分とは違う個人として認められる気持ちが生まれます。

魔法や人智を超えたものを使える話ではありません。一人の少女が失敗を繰り返しながら、心身ともに傷つきながら成長する物語、と、拙い文章でしか書ききれないのがなんとももどかしい。。。

コメント

コメントの投稿

管理人にだけ読んでもらう

HOME