FC2ブログ

SpaceFわひね(wahine) 

一人ひとりが思いを、あるときは共有し、あるときは自由にたゆたう。。そんな場所をめざして 

2017年

12月20日

(水曜日)

ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話

「ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話」

ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話

「精霊の守り人」も最終章、佳境に入っております。

そんな折に、上橋菜穂子の往復書簡集が発刊。

読み始めてみて、先に進むのが少し怖くなっているところです。私はどこへ連れていかれるのか・・・

上橋菜穂子と、彼女が癌を患った母をなんとか助けるべく奮闘する中で偶然に知己を得た、聖路加の気鋭の漢方医、津田篤太郎との対話(書簡のやりとり)です。その"偶然"に"物語"があることにも不思議な力が働いたのか・・・

二人の文章力に引っ張られて、思考を揺さぶられながら読了。

二人の抱くイメージと、私が似たような感触を持つとしても、それは二人洞察のレベルには深さも広さも全く遠く及ばないとはわかっていても、自分が今感じている日々に対する思いがシンクロしているようで、気分が落ち着きました。

「精霊の守り人」が放映されて、視聴者から、この物語の中に、ナユグという、この世と重なり合って存在するもう一つの「目に見えぬ世界」があることを、どういうものか想像できないという声が生まれていくことを目にした上橋菜穂子が大学でのエピソードを挙げていて、それはとても納得のいくものでした。

「私は、十年ほど、大学のゼミで、学生さんたちに『ハリー・ポッター』とル=グウィンの『ゲド戦記』を読んでもらい、様々な角度から議論させてきましたが、『ハリー・ポッター』は読めるけれど、『ゲド戦記』が読めなくて脱落する学生さんが、毎年現れます。

~~主人公ゲドが学んでいく魔法は、世界の均衡に深く関わる、いわば「目に見えぬ」力です。世界がなぜこう在るのか、誰もまだ見出すことができていない何かが、この世にはあるのではないか―そういうことを想像して、はじめて、強い衝撃とともに胸に迫ってくる「魔法」なのです。その魔法の在り方に困惑して、「先生、ル=グウィンって下手だね」と、言った学生さんもいました。

~~目に見えないものを想像するのは本当に難しい。受け手として想像することが難しいだけでなく、目に見えないものは、その存在を伝えることもまた、とてもとても難しい。そして、育ってきた文化が違うと、「想定の箱」も、また変わってくるようです。


まぁとにかく、人間の在りようについてこれまでも色んな人が様々に語りついでいて、腑に落ちたり疑問を投げかけたりしてきたわけですが、二人の思索が巡る言葉はじわじわと響いてくることが多く、以前はほとんど具体的にイメージできなかった"死"について、少しずつ向き合うことが多くなってきた今の時点の私にありがたい方向を示してくれるようでした。

リアルタイムで2017年の今を、地球的に生きとし生けるあらゆる生命体や、人間が生み出して今や人間をコントロールしシステム化するかも知れない人工物AI も含めた視点をもって、"生"に向き合っている二人の話。
冬の長い夜にじっくりと読むと、ほの暗いところに追いやられているような最近の状況に、少し違う視野をもたらしてくれると思います。時間が許せばぜひ。

コメント

コメントの投稿

管理人にだけ読んでもらう

HOME