SpaceFわひね(wahine) 

一人ひとりが思いを、あるときは共有し、あるときは自由にたゆたう。。そんな場所をめざして 

2014年

09月22日

(月曜日)

クチトンネルと戦争証跡博物館

クチトンネルの入場料は9万ドン(450円)。まずはべトナム戦争での米軍(ベトナム政府軍)とベトコンの戦いの歴史を映像で予習して、クチトンネルの造営規模などのレクチャーを受ける。 
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全長250㎞に及んで掘りめぐらされたトンネル内には会議室や食堂、作業場、居住部屋のようなある程度広い場所も作られたが、ほとんどが人間がしゃがんで手足を広げることができない通路。小さいから落盤の危険性も低い。夜間に掘ってその土を運び爆撃を受けてできた穴に埋めていく、合理的な知恵。
土地のいたるところに抜け道の穴が隠されていて、罠もあちこちに仕掛けられた。この穴も近代兵器の力をそぐ知恵の結晶。
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実際に通路を体験できる。全長100m。実際にはなかったであろう20mごとに脱出口が用意されていてグループで入り声を掛け合っているから少し安心だが、真っ暗闇の中身体を小さくして進むのはかなり難儀だ。でかい人には入ることさえ難しい。この閉塞状況の中に何時間もいるのは相当な忍耐力が必要だ。昔読んだマイケル・コナリーの小説で、主人公ボッシュがベトナム戦争に従軍し"トンネル堀り"と呼ばれた経験を持ち、退役してからも当時のトラウマから抜け出せなかった話をいやがうえにも思い出した。
(トンネル体験の途中で、なぜか生春巻き製造工房も見学。いたってシンプルな工程と、生春巻きの皮の模様の謎が判明)012770f94d74310ca1404a1c0606ef17796d20e2b1.jpg

体験ツアーのラストは実弾射撃。希望者のみ弾代は自腹。10個で1500~2500円。私以外は全員参加。結構シリアスな体験行程ながら、戦車に乗って写真を撮りなさい、とか言われるとさすがにこれはやってはいかんのではないかと自重するが、それも過剰反応なのか・・・
ベトナムでは当時の政府軍関係者は公務員にはなれないらしい、子ども・孫の世代までも。英語ガイドさんが帰りのバスの中で自分の家族の歴史を話すことを許してくれと言って語り始めた。これを毎回ガイドとして彼は語っているに違いない。英語圏の乗客がどこまで聞いていたか、国内で"負け組"となった人たちの複雑な思いを私自身がどこまで理解できたかもおぼつかないけれど、彼の話に耳を傾ける機会はありがたかった。

帰り道、市内の戦争証跡博物館で途中下車させてくれるというので希望すると、下車したのは私と、途中で話をするようになった大阪からの若い夫婦だけ。
証跡博物館という名称に相応しく、3~4階建ての中にベトナム本国以外からも集められた展示品の中には、人間が人間に行使した犯罪の、目をそむけたくなるような証拠品がギッシリ並べられていて、これまで幾度となくベトナム戦争の資料を見てきて麻痺してしまっているような鈍感な私でも、自分の中にもある非道な感覚に目を向けざるをえなくなり、限界を思い知らされる。
当時の日本の資料やピュリッツアー賞を受賞した沢田教一他日本人報道カメラマンの写真も多数あった。
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外に出ると博物館の前庭に米軍の戦車や軍機が置かれている。よく見ると戦車のキャタピラーやタイヤには破損個所や傷がたくさんあり実際に使用されていたものだとわかると、蒸し暑い空気の中で一瞬気温が下がったような気がした。
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クチトンネルで見た昔の映像は、若い男女が逆境の戦いに果敢に挑む姿を映し出し、当然のごとく戦意高揚を意図していた。今世界中で劣悪な状況におかれた人々の多くが、同じように"正義"や"復讐"のために敵対視するものへの悪意をつのらせている。一人一人の意思を掬い取って集約して利用しようとするモノから逃げる手立てを、私は持っていると言えるだろうか。ハンナ・アーレントの映画で彼女が語った「無自覚の悪意」のことなど、あらためて考える。。。

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