SpaceFわひね(wahine) 

一人ひとりが思いを、あるときは共有し、あるときは自由にたゆたう。。そんな場所をめざして 

2016年

07月31日

(日曜日)

タイトルの意味の深さ

ありのままの私
最初はスルーした本書、タイトルが「ありのままの私」って・・・
とはいえこんなベタなタイトルつけるには意味があるのかもしれない・・・

ありました、深い意味が。
書店で並んでいるときは帯に著者のプロフィールやコメントが書いてあるので内容を推察できますが、図書館などでは外してありハードルが一つ高いですね(って言い訳か)
テレビのバラエティもほとんど見ないので、あゆむ(もしくはあゆみ)さんはメディアにも露出度が高い人だと全く知らずに読みました。
教員という職業柄かもしれませんが、論理立てて自らを分析し、折々の状況をとてもマメに冷静に記憶記録して記述してあります。
私がかねがね「性同一性障害」という名称になんとなくなじめなかったことが、この本で得心できました。

「性同一性障害」の項でとても詳細に述べています。
「性同一性障害」などというものは存在しません。それは人を支配あるいは破壊するために捏造された、危険な概念です。・・・
こういう男女区別主義者にとって、「性同一性障害」という概念は実に便利です。というのも、男女の帰属を乱すものは「かわいそう」な「障害」を持っている「異常者」だ、と思えばいいからです。そういう「障害」のある人は、手術を受けて本人が帰属したいと思っている集団にふさわしい身体に変造してしまえ、ということになります。それが性別適合手術の社会的意味です。・・・
「そうすればあなたも幸せでしょ?女になりたいんでしょ?」というわけですが、目的は他人の幸福ではないのです。彼らが狙うのは、社会の表面的秩序の維持です。・・・
この概念によって医者は圧倒的に強い立場に立ちます。・・・
「性別適合手術」という名前が生み出されたのですが、これも欺瞞的であることには変わりありません。・・・この手術の最も正確な名称はおそらく「性器変形手術」です。・・・言ってみれば美容整形の一種なのです。


昔はゲイを病気だとして精神科に強制的に入院させ治療するということが行われ、現代では「性同一性障害」を本来の性に適合させようと治療する。。。セクシュアリティの多様性を認めることは彼らの根幹を揺るがす危険思想と怯えているんでしょうね。。。

ナチスの時代、多くの同性愛者や障害者が迫害抹殺された歴史の暗部をもっと多くの人が知らないと、また繰り返されてしまう危険が現実味を帯びてきたと、思わずにはいられません。
根っこは同じ。。。

2016年

07月31日

(日曜日)

"痛み"をわかることは難しい・・・

ジャンルを超えて鋭く社会をとらえて、わかりやすくひも解いてくれる藤本由香里の久しぶりの著書
「きわきわ」「痛み」をめぐる物語
きわきわ_l

パッと見サクサク読める印象ですし文体も平易、ですがですが、入魂の書ですよ!途中で「痛み」の穴からずぶずぶ抜け出せなくなりそうで、しばらく間を空けて後半に取り掛かるくらい、私のように鈍感な人間にも、痛み(顔・美・身体)の深さが底なし。。得意のコミックや小説世界を取り上げながら痛みをめぐっているからまだ距離を保てるのですが。
全編うなづきつつ読み進みますが、後半「社会の底が抜けていること」と「世界の底も抜けている」ことの考察は思考停止してしまう自分が情けないやら。

末尾に付録として掲載されている「東京都青壮年健全育成条例改正問題」について、この条例が狙いとしている規制の本質について喝破しているところは教育関係者は特に必読だと思うんですよね~~

2016年

07月31日

(日曜日)

見てから観るか観てから見るか

もう公開が終わったと思っていたドキュメンタリー「フリーダ・カーロの遺品」を渋谷アップリンクファクトリーでやっています。もうすぐ終わりそう。。
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写真展とはしごするならどちらを先に?
フリーダ写真展1

こちらはこれからのお楽しみ
5月に公開されていた「ファブリックの女王」は、予告編では、北欧のブランド「マリメッコ」が生み出した大胆なデザインのファブリックに身を包んだ女性たちが生き生きと輝く!というような、観終わった後に身も心も軽くなる映画、と思い込んで映画館へ。
しかし、そこは北欧映画、ハリウッド的な成功物語とはかけ離れた心理劇舞台の映像のようでした。演じる役者の演技上の解釈の揺れが、同時進行で創業者アルミ・ラティアの生涯とシンクロして、モノローグがどちらの心象とも受け取られます。
北欧の室内や空のモノトーンがあればこそあの大胆な色使いが映えるんでしょう。最近公開が増えた北欧映画の中でも異色のシリアスムーヴィー。己の思い込みが外れて嬉しかった。

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そして映画で見たテキスタイルの数々を展示してくれるのが「マリメッコ展」
マリメッコ展
映画で描かれたアルミの苦悩や葛藤などには微塵も触れてないかもしれませんが、心浮きたつファブリック見たいです。

2016年

07月27日

(水曜日)

知らなかった! 「秘密 The Top Secret 」公開間近

先日大森まで映画を観に行ってきましたが(タランティーノ2本立て!)、電車内で読む本を忘れたので、エキナカでダ・ヴィンチを購入。
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買ってびっくり、清水玲子特集「清水玲子の進化論」。なんとあの「秘密」実写化公開間近とな!
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私の中では主人公の薪剛は性を超越している人物なんだけどなぁ・・・

9月号は第一特集で山下和美だと!

2016年

07月18日

(月曜日)

「キネマの神様」 The Name above the Title

「キネマの神様」 原田マハ 文芸春秋
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久しぶりに小説読みながら泣いてしもうた、不覚。
単行本ではなく文庫本で読んだ。読み始めたのは「解説片桐はいり」という一文を目にしたから。
ファンキーな文章を書く片桐はいりならではの解説にノックアウトされて本文に取り掛かった次第。

原田マハのプロフィールの中で際立つ"フリーキュレーター"は私にとっては羨望であり嫉妬すら覚える。
私の学生時代、学芸員課程を修了しても就職先は民俗か民族博物館が関の山(今ならそれが実に意義あるものだとわかるけれど、当時はもっとミーハーで。。。)
が、彼女は商社勤務時代のトラウマを長らく引きずっていたのかもしれない。総合職第一世代として働き始めた葛藤・苦闘の自伝的要素が作品に散らばっている。
社内外の圧力に一度は屈しても起死回生するさまが描かれている作品も多いしね。

今作はそんな彼女の自伝的小説だという。
http://hon.bunshun.jp/articles/-/270
私は学生時代に渋谷、高田馬場、早稲田、池袋、新宿の名画座で随分お世話になった。社会人になってからは三軒茶屋や大森でも素敵な名画座に出会った。
唯一行ってなかった飯田橋のギンレイホール(旧佳作座、行けなくてごめんね○毛さん)がモデルと思われるテアトル銀幕がこの作品の大きなキーワード。
この作品の中に挙げられている映画はメジャーなものが多く、ゆえに、多くの読者が思い入れを投影できる。
主人公の父親、とことんダメ男の博打好きで自分勝手な映画好きのゴウちゃんが、自らを語り始めたことによって周囲も変化していく過程や、ネットでつながったローズ・バッドとの交流の顛末に、作者の気合がこもっている。
映画好きを自認する人は映画館で見る機会を今よりあと数回増やしましょうね!シネコンもいいけど名画座もね。

2016年

07月18日

(月曜日)

バラカ

「バラカ」 桐野夏生著 集英社

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久しぶりに手にした(図書館の予約順番が来た)「バラカ」。。。。
やっぱり桐野夏生の負のパワーは半端じゃありませんでした。が、今回は幼い子どもが中心になって物語が動いているから、珍しく最後にはかすかな希望も示されていて、少し救われる思いにもなりました。
極限状況に置かれた人間が直面する自己崩壊や混乱、最悪の事態に、大人たちが露悪的に堕ちていく中で、幼いバラカは突き動かされて生きていく。。。
3.11後多くの作家たちは「この状況で何ができるか」と打ちのめされたと語っています。そしてようやく次々に独自のテーマで書き始め、今の日本(の社会や政治?)に疑問を突き付け始めているようにも思えます。
桐野夏生は今の疲弊した社会に大きくなってきている差別意識にも警鐘をならしています。
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/5965
しばらく遠ざかっていた桐野夏生、またあの強烈な負のエネルギーに身を委ねて、緩んできた神経のネジをまくとしましょう。

2016年

07月18日

(月曜日)

ははがうまれる

「ははがうまれる」宮地尚子著 福音館
ははがうまれる

過去のことを反芻したり記憶の糸をたぐったりすることは好きではないので、子育て時代を振り返ったりする会話には
問われない限り、あまり参加しないようにしているかもしれません。
自分のていたらくぶりを思い起こすのが怖いからですが^^;
なので、育児書に分類される本を手に取ることなどあまりないですが、著者の名前とタイトルに惹かれ読み始めました。この本を自分が子育て中に読んでいたら、「そうだよね~」と何度もうなづいていたことと思います。
月刊「母の友」に連載されたものをまとめたものです。いずれの章も少頁ながら、どの頁にも深く心に響く内容が詰まっています。自分が漠然といだいていたきたことを言語化してくれることほど嬉しいことはありませんよね、そんな思いをくれた、一冊。
頑張っている若い親御さんたちに手渡したい、一日一項読むだけでもじわ~と効いて肩から力が抜け口がほころんでくるんじゃないかなぁ。。。

「三輪車から自転車へ」
子どもの乗り物といえば、まず三輪車である。幼い子のあのぽよっとした両足が、少しがに股になって、きこきことペダルを動かす姿は、なんとも笑みをさそう。こいだ分しか進まないその律義さが、子どもの一生懸命さと直結している感じがして、見ているだけで愛しくなって、大人のほうが元気づけられる-----三輪車の次は自転車である。----自転車にどうやって乗れるようになるのだろうか。---もっとも多いかもしれないのが補助輪を使うやり方である。----最初は安心感を与えてくれる補助輪。いつの間にか必要がなくなっている補助輪。必要がなくなったら、邪魔っけにさえなる補助輪。親の役割もそんなものかもしれない、と思ったりする。必要がなくなるほうが、こどもは遠くまで行ける。----子どもも時には、親の補助輪になるのかもしれない。

「雨ニモマケズ?」
子どもを励ますときや叱るとき、大人は自分のふがいなさを棚上げにしなければならないことがある。ただ、棚上げにしていることを自覚しているかどうか、ふがいなさを自覚しているかどうかは、口調の柔らかさや表情などをとおして、子どもにも敏感に伝わるのではないかと思う。
子どもであれ大人であれ、雨にも負け、風にも負けるのが人間の常である。そのことを知っている人間からの励ましや説教には、余韻がある。

「成長」
ちなみに「グロウ・アウト(grow out )」という言葉もあって、成長のために今までの服や靴が小さくなったりすることを言う。藍より青く、子どもに親や教師がグロウ・アウトされたとき、それを心から喜び合えるような大人同士になりたいものである。


著者は大学の教員で精神科医師、その専門分野での著書「環状島=トラウマの地政学」を3.11後に、勧められて読みました。「地政学」というキーワードに?のまま読んでいくうちに、"トラウマ"のありように目を開かれた思いがしました。一元的な被害者と加害者の関係を、その周囲も含めた多元的な関係として、トラウマの位相が見えてくるのでした。
環状島

2016年

07月05日

(火曜日)

ブルックリン

旅先で見た「ブルックリン」

ブルックリン

"アイルランド"が関係していると2割増しになる私ですがハートウォーミングな映画は苦手なので、ちょっと腰が引けながら見ましたが、「自分で決める」ことに勇気が持てなかった若い女性が、たとえ恋愛がきっかけだとしても、それまで誰かの基準を頼りにしていたところから、自分で立ち位置を見つけ作り出していく姿を丁寧に描いている映画です。

50年代のアイルランドは景気が悪く、主人公エイリシュはアイルランドでは仕事に恵まれず、ニューヨークに移住します。
そこで得た仕事は、まさに、最近見た「キャロル」のルーニー・マーラが演じたテレーズと同じデパートガール。
接客苦手なエイリシュを厳しく指導する主任や、アイルランド同郷の女性たちを住まわせ生活指導?しながら時に厳しく時にやさしくアドヴァイスする寮の女主人、エイリシュと同じようにアイルランドから移住して働きながらアメリカで"男"を見つけようと努力?しながらもブルックリンで生き生きと暮らす寮の先輩たち、女性たちが魅力的。

原作にはなく脚本家が足したという、ラストに近い船上シーンが、エイリシュがアメリカに渡るときに心細い思いでいた船上のシーンと対比され(ちょっと作り過ぎでもあるな)印象が残ります。

もし今ちょっと「へこんでる」なら、この映画でじんわり気分が上向きになりことは保証します!

主演のシアーシャ・ローナンは私の大好きな映画「グランド・ブダペスト・ホテル」に出ていたんですね・・・曲者です!

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