SpaceFわひね(wahine) 

一人ひとりが思いを、あるときは共有し、あるときは自由にたゆたう。。そんな場所をめざして 

2018年

04月23日

(月曜日)

わくせいキャベジ動物図鑑

tupera tupera(ツペラツペラ)の絵本はシュールっちゅうかナンセンスというか、脱力系というか、実に私のツボど真ん中です。

これまでの絵本はこちら
https://www.ehonnavi.net/author.asp?n=7849

私が知ったのは2013年刊のパンダ銭湯
pパンダ銭湯4

そして2016年刊のわくせいキャベジ動物図鑑
「おいおい!」と突っ込みたくなる動物が続々登場。
ギリギリおやじギャグの際?!

わくせいキャベジ


手に取ってみて欲しいけど、とりあえず見てみたい人はこちらをどうぞ
https://www.ehonnavi.net/ehon/113882/%E3%82%8F%E3%81%8F%E3%81%9B%E3%81%84%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%99%E3%82%B8%E5%8B%95%E7%89%A9%E5%9B%B3%E9%91%91/

2018年

02月25日

(日曜日)

テーラー伊三郎

いやいや旅のお供としてはキケンなエンタメ小説!
火炎瓶を投げる(?)82歳のじいさん!

「テーラー伊三郎」
テーラー伊三郎_


昨年初冬頃紹介された記事を目にし、内容をよく知らないまま読み始めました。
「嘘の木」のビクトリア朝の重苦しさから、今度は震災後の福島の小さな商店街で鬱々とくらす男子高校生の話。
頭のギアチェンジが必要か。。。と思いきや、読み進むにつれて、物語のもつ歴史的な背景が思い切りリンクしているじゃありませんか!我ながらビックリ。ま、こじつけだけど。

主人公(「海色」と書いてアクアマリンと読ませる!)の灰色の日常は、これまでなるべく接触を避けていた"年寄り"達に出くわしたことから、一気に沸き立つ世界へ加速していきます。
ここに登場する商店街の80代のじいさんばあさん達がもつ潜在能力?が発揮されていく様にはわくわくします。
彼らの、若者からみると"頑固さ"も、観方によってはしたたかな知恵に裏付けされているだけでなく、意外に融通無碍だったりするので、主人公アクア達の若さを新鮮に、率直に、寛容に包んで受け止めていき、相乗効果がぐんぐん花開いていくのです。

この物語を若い読者はどう感じるのだろう?年寄りを見る目が少し変わる?
かたい頭になってきた年寄り読者は自分たちを見る目が変わる?
わが年齢を前提に選んだわけではないけれど、この老人たちに出会えて、やはり私もこのまま身の程わきまえず自分にとって面白い日々(他人さまには理解されなくても)を愉しんで行こうと思えるのです。

アクアの同志となる福島弁全開の明日香が傾倒している"スチームパンク"はビクトリア朝の文化どっぷり、伊三郎が作り出す"コール・パレネ"は同時期のフランスのコスチュームデザイン。
アクアはエロ漫画の母親のアシスタントを否応なしで手伝う内にこの時代の歴史や文化の知識を深めていて、彼らが生み出す"革命"が福島の小さな商店街の人々だけでなく日本から世界へ広がっていくのか・・・

短い旅の間車窓を楽しむことと、物語の続きを妄想する非現実性で、脳内がキケンな状態でした。

「スチームパンク」を熱く語る明日香の話を読んでいて、私の頭には大友克洋の「スチームボーイ」がまず浮かび、「おお!」と一気に世界観が広がりました。
型破りな歴史エロ漫画を描きまくるアクアの母咲子のこだわりも、漫画愛好者としては興味深く、作品がどこかで実現化しないものかと妄想しますもん。津田咲子作「サンテティエンヌ寄宿学校の処罰」読みたい!
そして伊三郎が作り出し、個性豊かなばあさん達がコール・パレネをコーディネイトした姿を見たい!
さらにアクアの友達隼人とカメラ屋の大澤じいさんが作ったウェブサイトを見たい!

2018年

02月21日

(水曜日)

嘘の木

「嘘の木」 フランシス・ハーディング著

嘘の木

ヤングアダルト向けのファンタジーというくくりで高く評価されて、本邦初翻訳の作家ということです。
ようやく手元に来て一気読み。
読後に宮部みゆきの書評を見つけて、「この本を昨年の個人的なベスト1としたあなたを私は評価するぞ」、とエラソーに頷く私でした。
宮部みゆき書評

ビクトリア朝で生きる主人公の14歳の女の子フェイスは、ある時は弟と一緒に子ども扱いされ子供部屋に、ある時は母親とともにレディとして女性部屋に追いやられる。そうして成長すると、それなりの階級に属した女性の常として、淑女として丁重に遇されるものの、墓碑銘は男たちの"最愛の娘"、"最愛の母"、"最愛の妻"、個人としての名前は記されず(記すに値しない者?)、歴史の表舞台には現れなかったものとして葬られる運命。

これまで発表されてきた当時のイギリスに生きる女性たちの生きる様を伝える一連の作品と同じように、フェイスは当時の女性予備軍として生きていくには多感な感情や好奇心を持て余し、なんとか身の内に押し込めようとするけれど、父親の死をきっかけに暴走し始める。。。

彼女は、女たちがそこにいてもいないこととされるという状況を逆手にとって、『嘘の木』を見つけ、大人たちを観察し情報収集したり、怪しい情報をうまく流したりして大人たちを動揺させ混乱させていきます。
一人で奮闘するうちに、周囲の人々の、特に女性たちの隠れた感情に気付いていきます。

「フェイスはずっと、自分はほかのご婦人がたとはちがうのだと思い込もうとしていた。でも、そうではない。ほかのご婦人がたもひとりひとりちがうのだ。」
少女期は、劣等感と自己嫌悪と根拠のない自信と虚栄心やらなにやらで実に落ち着かないものだ。ましてや周囲が理解の無い大人だらけと考えていたら尚更。

宮部みゆきも書いているように、ラストで、これまで全く自分とは相いれないと諦めていた母親への理解がフェイス生まれ、母親も娘を自分とは違う個人として認められる気持ちが生まれます。

魔法や人智を超えたものを使える話ではありません。一人の少女が失敗を繰り返しながら、心身ともに傷つきながら成長する物語、と、拙い文章でしか書ききれないのがなんとももどかしい。。。

2018年

02月15日

(木曜日)

ねこ町駅前商店街日々便り

「ねこ町商店街日々便り」
ねこ町_

いや~柴田よしきの作品とは思えないタイトルだし、装丁もいまいちだし、思いのほか分厚い。。。
とは思いつつ、ホラーもミステリーもファンタジーも変幻自在に操る柴田よしきだからね。。。

はい、読む前の予想をいい意味で裏切られて心地よく読了。
ねこアレルギー気味の私には縁がないですが、猫好きの面々にはたまらんかも?!

全国の中小都市の駅前シャッター街の再生はどこの地域でも改善困難な課題、
それぞれの地域の抱える独自性もあれば共通の問題も含めて、
時代の波で仕方がないという諦めが支配的な空気。。。
この物語の中でも何度もそういう堂々巡りの話が語られるから、少し辟易してくる感も。。。

が、そこはフィクションの世界?!
老若男女がそれぞれに、自分の力を目覚めさせていくことが繋がって再生への光が見えてくるというハッピーエンド。
きっかけはこのねこ町(根古万知)にふらりとやってきた猫?
この猫は果たしてUFOに乗ってやってきたのか?!

自治体や有識者がプロジェクト化する地域再生計画は、いまだにどこかシステマティックで男目線が支配的。
そんなあれこれを著者はかなり調べたと思われます。
そこから著者は、地域の活性化とは、人を呼ぶために観光地化することではなくて、住民が愉しい記憶を残せる町としての"祭り"を生み出すことを一つのてがかりとしていきます。

覇気が消えかけていた商店街のオヤジ店主たちや日常生活をなんとかやりくりする女性たち、都会からUターンした若者、先が見えない町でくすぶる子どもたちが、潜在していた力やモチベーションを高めていき、再生への強い思いをもった幾人かが角突き合わせ捻り出したアイデアを、大きく膨らませいろんな形で具体化実現して行く・・・

まぁ、紆余曲折しながらも町が再生していくファンタジー、と冷めた目で断じることもできるでしょう。
シャッターを下ろした年金暮らし商店主の「静かに暮らしたいからそっとしておいて」、という言い分の方に与したいというのが私の本音かもしれない。
そんな気持ちをお見通しの著者に活を入れられた気分です。

2018年

02月09日

(金曜日)

母は強し?2

リリース

産まなくても


「リリース」は書き下ろしで2016年10月発刊、「産まなくても産めなくても」は短編集で2017年2月発刊、各章は小説現代連載(2015年11月~2016年10月)、最終章のマタニティ・コントロールは書き下ろし。

図書館に予約していてほぼ同時期に順番が来た。
そして内容が思い切りリンク、シンクロ!
特に、「産まなくても産めなくても」の最終章の「マタニティ・コントロール」と「リリース」の世界では、ともに初の女性首相が誕生して、同性愛者が様々な方法で子どもを持つことができて、少子化問題が解消されている設定!

「リリース」は、異性愛者がマイノリティになっている世界。"男女同権"が"実現"?して同性婚が実現し、男らしさ、女らしさがネガティブなことと認識されている。。。
読んでいる間、ストーリー展開が予定調和ではないところに興味深く読み進めていく、が、登場人物が皆それぞれトラウマを抱え、性的アイデンティティが揺らいでいるのだけれど、そのリアルさが乏しく感じられて、ファンタジーとさえ思えてくるのは、私の共感度が低い所以か?

「産まなくても産めなくても」では、様々な不妊治療の事情が描かれている。その一つ一つが具体的に書かれていて、初めて知ったこともあり、あらためて自分の認識の浅さを思い知らされた。
ここに登場するマイノリティの痛みのリアルさはとても切実に伝わって来た。「リリース」から受ける印象との違いはどこから来るのか?著者の年齢差か、物語への思いの強さの違いか・・・

HOME →次ページ